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【靴の皮革の重要性】靴の「顔」を形作る革素材の奥深さと、あなたの足に最適な一足を選ぶヒント

はじめに:なぜ、靴の素材に「天然皮革」が選ばれるのか?

靴を選ぶ際、デザインや履き心地はもちろん大切ですが、その「素材」に着目したことはありますか?特に、靴の**アッパー(甲革)**に使われる素材は、靴の機能性や快適性、そして耐久性を大きく左右する重要な要素です。

現代では人工素材も多様に開発されていますが、靴の専門家が最終的に行き着く素材として、今もなお天然皮革が重宝されているのには明確な理由があります。それは、天然皮革が持つ独自の特性が、私たちの足と歩行を最適にサポートしてくれるからです。

今回は、靴の学校の生徒である苗村君との会話形式で、靴に使われる天然皮革の奥深い世界を一緒に探っていきましょう。

第1回:足に馴染む天然皮革の秘密と「なめし」の魔法

ショーター:苗村君、こんにちは!今日は靴作りの基礎、特に靴の「顔」とも言える**アッパー(甲革)**に使われる素材について深く掘り下げていこう。アッパーは靴の印象を大きく左右する、とても大切な部分だよ。準備はいいかな?

苗村君:はい、ショーター師匠!よろしくお願いします!アッパーの素材って、革だけじゃないんですか?

ショーター:いい質問だね!昔から使われているのは、もちろん動物の皮植物の茎、布なんだけど、現代では天然皮革の他に、人工皮革化学繊維なども使われている。でも、やっぱり今も昔も、天然皮革が一番使われているのは、それなりの理由があるんだ。

苗村君:へえ!どうしてですか?

ショーター:それはね、アッパーに求められる3つの大切な条件を、天然皮革が最も高いレベルで満たしているからなんだ。

  • 足の動きに合わせて伸縮し、耐久性があること。
  • 足を入れたとき当たりが良く、足になじんでくれること。
  • 足の湿気(蒸れ)を外にきちんと逃がしてくれること(透湿性)。

ショーター:最近は化学製品の技術も目覚ましいものがあって、一つ一つの特性だけ見れば、天然皮革を超えるものもあるかもしれない。例えば、防水性やデザインの多様性なんかは化学素材の方が優れている場合もある。でもね、アッパー材としての総合的なバランス、つまり、これらの条件をすべて高いレベルで満たし、足に優しく、長く使えるという点においては、今のところ動物の皮をなめした天然皮革に勝るものはないんだ。だからこそ、今もプロの現場で重宝されているんだよ。

苗村君:なるほど!ただの「革」じゃないんですね。奥が深い…。ところで、師匠、「なめし」ってよく聞くんですけど、何のことですか?

ショーター:良いところに気づいたね!「なめし」は、まさに革の品質を左右する「魔法」のような工程なんだ。動物の「皮(Hide/Skin)」はそのままでは腐敗したり硬くなったりしてしまうけれど、「なめし」という加工を施すことで、**腐敗を防ぎ、柔軟性や耐久性、そして透湿性を持つ「革(Leather)」**へと生まれ変わるんだ。

ショーター:なめしには主にクロムなめしタンニンなめし(植物タンニンなめし)の2種類があって、それぞれの特性が革の風合いや耐久性に大きく影響する。私たちが扱うドイツ製のフィンコンフォートのような健康靴には、足馴染みの良さや経年変化の美しさから、タンニンなめしやその混合なめしが採用されることも多いんだ。この「なめし」の技術が、天然皮革の特性を最大限に引き出しているんだよ。

苗村君:なめしってそんなに大事だったんですね!ただの素材だと思ってました…!

第2回:知っておきたい!主要な革の種類と特徴

ショーター:じゃあ、次は具体的にどんな種類の革が靴に使われるかを見ていこう。まずは「牛革」から。靴に使われる革の中で最も一般的で、用途も広いんだ。

苗村君:牛革って一口に言っても色々あるんですよね?

ショーター:その通り!年齢や成長段階、性別によって呼び方や特徴が変わるんだ。


  • ●カーフ (Calf)
    • 特徴: 生後半年までの子牛の革。牛革の中で最も繊維が細かくて、きめが非常に細かい。表面につやがあって美しいのが特徴だ。触り心地はしっとりとして非常に柔らかい。
    • 用途: 高級な婦人靴や紳士靴のアッパーに多用される、非常に上質な革だね。繊細な分、傷には注意が必要だ。
  • ●キップ (Kip)
    • 特徴: 生後半年から2年くらいの中牛の革。カーフよりは少し厚手だけど、きめの細かさはカーフに近いよ。耐久性と柔軟性のバランスが取れているのが特徴。
    • 用途: カーフと同じく、高級な靴のアッパーに幅広く使われる汎用性の高い革だ。
  • ●ステア (Steer)
    • 特徴: 生後2年以上の成牛(去勢された雄牛)の革。繊維が密で厚みが比較的均一なのが特徴。丈夫で摩擦にも非常に強い。最も流通量が多い牛革だ。
    • 用途: 一般的な革靴はもちろん、ワークブーツや鞄、ソファなど、幅広い用途に使われるよ。
  • ●スカーフ (Scarf)
    • 特徴: 生後半年未満の仔牛の革で、ステアよりもきめが細かい。繊維が非常に繊細で、独特のしなやかさがある。
    • 用途: 高級な衣料品や小物に使われることが多いけど、靴のアッパーにも使われることがあるよ。

苗村君:なるほど、牛革だけでもこんなに種類があるんですね!「カーフ」が一番高級なイメージでしたが、納得です!

ショーター:その通り!じゃあ、牛革以外の革も見ていこう。それぞれの革が持つ個性も面白いよ。


  • ●山羊革(Goat Leather)
    • 特徴: 山羊の革。牛革と比べると、表面の「ぎん面」(革の表面)は美しいんだけど、繊維構造がしっかりしていて、やや硬めなのが特徴だ。柔軟性がありながらも強度がある。子山羊の革はキッド(Kid)、成山羊の革は**ゴート(Goat)**と呼ばれて、特にキッドは薄くて柔らかく、高級品として扱われるんだ。
    • 用途: 靴のアッパーや手袋、衣料品など、しなやかさが必要なアイテムによく使われるよ。
  • ●羊革(Sheep Leather)
    • 特徴: 羊の革。薄く非常に柔らかいのが最大の特徴だね。軽くて伸縮性も高い。成羊革はシープスキン(Sheepskin)、仔羊革は**ラムスキン(Lambskin)**と呼ばれる。
    • 用途: アッパー材として使われることもあるけど、その柔らかさから裏地や衣料品、手袋など、肌に直接触れるものによく使われる。耐久性よりも柔らかさを重視する場面で活躍する革だ。

苗村君:山羊革と羊革も違うんですね!キッドとかラムスキンとか、専門用語がたくさんあって面白いです!

第3回:革の「表情」を決める仕上げの種類と、お手入れの重要性

ショーター:次は、革の表面の「表情」を決める仕上げについて説明するよ。同じ革でも仕上げ方で見た目も触り心地も全然違うんだ。靴のスタイルを決定づける大切な要素だね。


  • ●ドム(Dom)の仕上げ / スムースレザー
    • 特徴: 革の表面に起毛加工や揉み加工、型押しなどを施さず、革本来の**自然な「ぎん面」をそのまま活かしてなめした革のこと。革本来の美しい風合いや、使い込むほどに変化する経年変化(エイジング)**を楽しめるのが魅力だね。最も一般的な仕上げだ。
  • ●起毛した革
    • スエード (Suede): 子牛、山羊、羊などの革の肉面(裏側)を研磨材で毛羽立たせて、ベルベットのような手触りに仕上げた革。短い毛足が特徴で、上品で柔らかな印象を与える。
    • ベロア (Velour): 主に牛革の肉面を毛羽立たせたもので、スエードよりも毛足が長く、やや粗い風合いがある。耐久性が高く、カジュアルな靴によく用いられる。
    • ヌバック (Nubuck): 牛革のぎん面(表側)を軽く研磨して毛羽立たせたもの。スエードとは異なり、非常にきめ細かく、ピロード(ビロード)のような、なめらかな感触に仕上げられている。高級感が漂い、フォーマルな靴にも使われる。

ショーター:その他の特殊な仕上げもあるよ。


  • ●エルク (Elk): ぎん面を揉んで、柔らかく、不規則なシワや模様をつけた革。自然なシボ(シワ)が特徴。
  • ●エナメル (Enamel): 革の表面に合成樹脂を厚く塗って、ガラスのような光沢を出した仕上げ。防水性も高まる。
  • ●型押し (Embossing): 蛇やトカゲのような動物の皮膚の模様や、その他の型を革の表面に押し付けて模様をつけたもの。デザイン性を高めるために用いられる。

苗村君:うわー!スエードとベロアとヌバックって、全部起毛革だけど、使う革の面とか毛足の長さが違うんですね!これは知らなかったです!エナメルとか型押しも、そうやって作られてるんだ…!

ショーター:そうなんだ。革の種類と仕上げ方を理解すると、靴を選ぶときも、それぞれの靴がどんな特性を持っているのか、どんな表情をしているのかがよくわかるようになる。これは、お客様に最適な一足をご提案する上でも非常に大切な知識になるからね。

苗村君:はい!今日の話、すごく勉強になりました!これから靴を見る目が変わりそうです!でも、革の靴って、どうやってお手入れすればいいんですか?長く使うにはお手入れも大事ですよね?

第4回:天然皮革の靴を長く愛用するために — おすすめのお手入れ用品

ショーター:苗村君、素晴らしい質問だね!天然皮革の靴は、正しいお手入れをすることで、購入時よりもさらに足に馴染み、美しく変化していく「育てる」喜びがあるんだ。これは化学素材にはない大きな魅力だよ。

ショーター:主なお手入れのポイントは、汚れを落とす、栄養を与える、保護するの3つ。

  • 汚れ落とし: 履いた後は、ブラシや柔らかい布でホコリや泥を優しく落とすことが大切だ。雨に濡れたら、しっかり水分を拭き取って風通しの良い場所で陰干しすること。
  • 栄養補給: 革は人間の肌と同じで乾燥するとひび割れてしまう。革専用のクリームやオイルで定期的に栄養を与え、革の柔軟性を保つことが重要だ。特にスムースレザーはツヤ出し効果もあるから、見た目の美しさも維持できる。
    • 【ショーターのおすすめ】: 革クリームは、ぜひ**フランス製の「サフィール」**を使ってみてほしい。これは、靴磨き選手権の決勝に上がった人たちが皆使っていたという逸話もある、プロも認める最高品質のクリームなんだ。ドイツ製のフィンコンフォートの革とも相性が良く、革本来の美しさを引き出し、長く愛用する助けになるよ。
  • 保護: 防水スプレーは、雨や汚れから革を守るのに役立つ。起毛革には専用の防水スプレーを使うと良いね。

ショーター:そして、靴を休ませることも重要だ。毎日同じ靴を履き続けると、湿気がこもり革が傷みやすくなる。靴を休ませて、**シューキーパー(シューツリー)**を入れて形を整えておくことで、長く美しい状態を保てるんだ。

苗村君:なるほど!ただ履くだけじゃなくて、愛情を持って手入れすることが大事なんですね!フランス製のサフィール、覚えておきます!僕のフィンコンフォートもピカピカにできますね!

最後に:ショーター整形靴工房が天然皮革の靴を推奨する理由

ショーター:今日の話を踏まえて、改めて私たちショーター整形靴工房がなぜ天然皮革の靴、特にフィンコンフォートのような質の高い革靴を強く推奨するのかを伝えたい。

ショーター:それは、天然皮革が持つ**「足への優しさ」「耐久性」、そして「調整のしやすさ」**が、お客様一人ひとりの足の悩みに寄り添い、健康な歩行をサポートするために不可欠だからなんだ。

ショーター:足に馴染む天然皮革は、快適なフィット感を提供し、その透湿性で足の蒸れを防ぎ、皮膚トラブルのリスクを減らす。また、革は専門の技術で加工や調整が可能だから、お客様の足の変形や特性に合わせて、靴をよりパーソナルな一足に仕上げることができる。これは、足の専門家として、お客様の「快適な一歩」を実現するための、非常に重要な要素なんだ。

ショーター:だからこそ、私たちは単に「靴を売る」のではなく、革の特性を熟知し、お客様の足に最高のコンディションを提供する天然皮革の靴、そしてそれを最大限に活かすオーダーメイドインソール加工技術を提供しているんだ。

苗村君:天然皮革がこんなに足と身体の健康に関わっているなんて、驚きました。そして、ショーター整形靴工房が、ただ靴を売るだけじゃなくて、素材からお客様の健康を考えていることがよく分かりました!今日の話、本当に貴重でした!ありがとうございました!

ショーター:こちらこそ、熱心に聞いてくれてありがとう、苗村君!靴の素材は奥深いから、これからも色々なことを学んでいこう。今日はありがとう!


ショーター整形靴工房

  • 住所: 〒657-0837 兵庫県神戸市灘区原田通1-1-5 リムハウス1階
  • 電話番号: 078-801-4440
  • ウェブサイト: https://finncomfort-kobe.com/
  • LINEでのご相談はこちらから: https://page.line.me/815xnpld?openQrModal=true
  • ※神戸市靴型装具認定店。障がい者手帳をお持ちの方は、オーダーシューズとインソールを補助制度を利用して製作可能です。

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